masayuki5160's diary

名古屋でエンジニアしてます。

2023年振り返り

去年は忙しかったのか振り返り記事を書いてなかったようなので、今年は書いておきます。

良かったこと

年始から長らく取り組んできた仕事が無事に終了したこと

今年一番良かったことはこれです。他の良かったことも後述してますが、何より無事に担当してた案件が完了して良かったです。この何年かで一番苦労したんじゃないかと思います。

特に年始から春先にかけてストレスフルだったので、そのストレスとうまく付き合うことに苦心しました。具体的には、ちゃんと日々運動してメンタルを健康に保つことを意識しました。イライラ、モヤモヤしていても、ランニングしてスカッとすれば次どうしようか、どうアプローチしようかと前向きになれるので、意識してその状態に持っていきました。

エンジニアリングマネージャの仕事はこの時に何度も読み返し、参考にさせてもらいました。自分がしてることの方向性は良さそうかな、とか、チームやプロダクトにとって良いアクションor貢献になってるんだろうか、というのは自信なかったので。ハードスキルも求められますが、ソフトスキルを求められる場面が多かったのでこの本を読み返していたのかな、と今振り返ると思います。

https://www.amazon.co.jp/dp/4873119944/

何はともあれ、最終的には良い形で仕事を終えることができ、良かったです。一緒に働くチームのメンバーに恵まれたなと改めて思いました。

娘が保育園に楽しく通えていること

今年の5月頃から娘が保育園に入りました。はじめは毎日大泣きしてましたが、今では楽しく毎日保育園に通っています。仲の良い友達もできた様子でよかったです。こうやって社会性を身につけていくんだなーと思って見てます。

娘も楽しく通えていて良いのですが、僕と奥さんもそれぞれ仕事に集中できるようになったので、その点でも非常に楽になりました。僕の両親も、奥さんの両親も離れて暮らしているので、お互い子育てで疲れてしまうことがあります。それが保育園のおかげでだいぶ楽になりました。

なんとかなるだろうと思っていましたが、娘が保育園に楽しそうに通えるようになり、よかったなと思っています。

論文を出せたこと

学位を取ったのちに、大学を離れて今の職場で新たに論文を書けるかなということを少し不安に思ってましたが、今年は国内学会ですが論文を出せました。学会でもお世話になった研究室の先生ともお話しすることができました。小さな一歩ですがまず論文を出せてよかったと思っています。来年はリジェクトされた論文を別の場所へ投稿(実践よりの方へ)し、別テーマの論文も2つほど出せればと考えています。国際学会はどこか良さそうなところに出したいところですが予算など相談だなと思ってます、この辺も含めて頑張ります。

趣味アプリをFlutterで書き直したこと

これは仕事と関係しており、業務でFlutterを利用することになったので、キャッチアップも兼ねてReact Nativeで実装していたアプリをFlutterで書き直しました。ChatGPTに聞きながら毎朝コツコツ作業を進め、着手してからは2ヶ月ほどでリリースまでできたかなと思います。

仕事ではマネージメントよりの業務が中心になってしまってるので、こういう時間は業務外で定期的に取るようにしています。仕事の一環とかそういう意味でしているのではなく、どちらかというと自分自身も新しい技術を試してみたいのと、ソフトウェア開発を楽しみたいのがあって、それでやってる感じです。他方、業務で僕に求められることは年々マネージメントよりでの成果です。この辺のバランスを取ることは本当に難しいなといつも思うのですが、今のところこの趣味アプリというか個人開発をちょろちょろすることでギリギリバランスとってるつもりです。他のエンジニアリングマネージャの方がこの変どうしてるか聞いてみたいなとよく思ってます。

実家を今後どうするかに関して、方針が決まったこと

僕は長男で、実家を離れて暮らしてまして(@滋賀)、弟も実家を離れて暮らしている(@東京)ので、実家と両親の今後をどうするか、ということは長らく家族の課題でした。同じような方も多いんじゃないかなと思います。

この課題に関して、2年ほどかけてゆっくり家族で話をしてきて、この年末に話をして方針が決定しました。両親が実家を引き払って、僕が住んでいる滋賀に移り住む、という方針です。お金もかかりますし、精神的な負荷もかかることではありましたが、両親も納得してのことなので、話がまとまってよかったと思っています。プライベートのことでいうと、この件が一番大変で、話がまとまってホッとしました。

大変だったこと、改善したいこと

保育料が高い

これは仕方ないと思ってますが、安くなれば嬉しいなという思いだけw 良い保育園ですし、娘も楽しく通っているのでいいかと思ってます、以上。

家族全員が順番に体調不良でダウン

これは今後気をつけたいなという意味を込めて。

9月か10月だったと思いますが、娘=>奥さん=>僕の順に風邪でぶっ倒れてました。特に奥さんと僕はかかりつけの医者から入院を勧められるほどひどい状況でした。気をつけていても今後もこういうことはあるだろうと思ってますが、だいぶ苦しかったので、何かできることはしたいな、というのが振り返りです。

総括

年始からしばらくは仕事のこととプライベートのこと(実家のこと)で苦しかったですが、最終的には共に良い結果になりました。そういう意味で、良い年だったと思います。来年もすでに夏前くらいまでは忙しそうな予感ですが良い年になるよう頑張ります。

ユーザビリティに関するサーベイまとめ

はじめに

SES2023に投稿するにあたってユーザビリティに関するサーベイをしたのでそれをざっとまとめておきます。

サーベイまとめ

ユーザビリティへの注目のはじまり

  • 明確にはわからなかったが、インターフェースという領域ができてから注目が集まった
    • 黒須正明. "ユーザビリティ・エンジニアリング: 1. ユーザビリティ工学の背景と概説." 情報処理 44.2 (2003): 122-127.
  • 人間工学(Human Factors Engineering)、認知工学、ユーザビリティ工学と徐々に問題領域の設定を変えながら変わってきた様子
    • 黒須正明. "ユーザビリティ・エンジニアリング: 1. ユーザビリティ工学の背景と概説." 情報処理 44.2 (2003): 122-127.
  • 国内の学会
    • 日本人間工学会 https://www.ergonomics.jp/
      • ソフトウェア、というよりはものづくり、メーカー寄りな印象を受ける
  • 国際学会

ソフトウェア製品におけるユーザビリティ

人間工学、ユーザビリティ工学とソフトウェア工学

  • 平沢尚毅. "ユーザビリティ・エンジニアリング: 3. ソフトウェア開発におけるユーザビリティ工学." 情報処理 44.2 (2003): 136-144.
    • 非常に参考になった
    • こちらを参照しつつ、参考文献を読みあさった
  • Bias, Randolph G., and Deborah J. Mayhew, eds. "Cost-justifying usability: An update for the Internet age." (2005).
    • これは欠かせない文献のようだった、非常に参考になる
  • ISO18529などユーザビリティの向上を実現するプロセスの定義を人間工学またはユーザビリティ工学の方を中心されているが、最終的に要求定義の重要性を説いている
    • 人間工学とユーザビリティ工学ではソフトウェア製品に限らず、ユーザビリティに関して議論をしている
    • 上記を考慮した読み替えが必要だが、それに関しては、Seffahらが議論している論文などが注目されているようだった
      • Seffah, Ahmed, and Eduard Metzker. "The obstacles and myths of usability and software engineering." Communications of the ACM 47.12 (2004): 71-76.

著名な書籍や文献など

  • Nielsen, Jakob. Usability engineering. Morgan Kaufmann, 1994.
  • 規格など
    • 堀部保弘, and 山本雅康. "ユーザビリティ・エンジニアリング: 2. ユーザビリティ工学と国際規格." 情報処理 44.2 (2003): 128-135.
    • 組込みソフトウェア開発における品質向上の勧め ―ユーザビリティ編 https://www.amazon.co.jp/dp/4798111902
      • どこかにPDF公開されてたんだが再度見つけられず
      • 非常にわかりやすい資料だった
  • ソフトウェア工学に関係する文献
    • Bias, Randolph G., and Deborah J. Mayhew, eds. "Cost-justifying usability: An update for the Internet age." (2005).
    • Seffah, Ahmed, and Eduard Metzker. "The obstacles and myths of usability and software engineering." Communications of the ACM 47.12 (2004): 71-76.
      • ユーザビリティ工学や人間工学の分野がソフトウェア工学を参照しきれておらず、ユーザビリティに関する定義のコミュニーションがもっと必要だよね、という問題提起と整理をしてくれてる
      • 最近も引用がされてる様子だった

雑多なメモ

  • 思っていた以上にユーザビリティに関する議論を把握するのに苦労した
  • "ユーザビリティ・エンジニアリング: 1. ユーザビリティ工学の背景と概説."で述べられていた"インターフェース"という領域が出てきて問題が諸々出てきた、という説明は理解しやすかった
  • Cost-justifying usabilityはもう少し読みたい
  • ユーザビリティ、という言葉を使うときは注意して使う必要がある、とよく理解できた
  • サーベイした上で、ソフトウェア工学においてはSQuaREを参照してユーザビリティの議論をすることで良いが他の分野の方と議論する際にはサーベイしたことを踏まえて丁寧に議論が必要そうだ

デザインシステム(Design Systems)に関するサーベイ

しばらくデザインシステムに関するサーベイをしていたのでそれをまとめます。

サーベイ結果

デザインシステムのはじまり

  • 2011年頃に現在のデザインシステムと同じようなアイデアは注目を集め出した(Churchill, E. F. (2019). Scaling UX with design systems. Interactions26(5), 22-23.)
    • 当時議論されていたことと、デザインシステムが持つ要素はある(ex. コンポーネント、認知パターン)
    • おそらく2011年頃に議論されていた際はデザインシステム(Design Systems)ではなく、デザイン言語(Design Language)という用語が使われていたはず ※ 要確認

デザインシステムの定義

  • デザインシステムの定義は曖昧で、アカデミックの研究者が定義をしようとしているがまだ道半ば(Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51.)
    • さまざまな企業がデザインシステムという言葉をいろいろなコンテキストで使っており、ブログ記事などインターネット上の情報に頼る必要がある(GU, Qianfei, et al. Design system as a service. 2021. ※ 修士論文)
  • Atomic Designは度々デザインシステムと比較されるが、Atomic Designはデザインシステムの方向性を示している。すなわち、デザインシステムはAtomic Designを内包する(Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51.)
    • 3章 Historic and Theoretical Foundations of Design Systemsは参考になるので再度読む
  • Design Systemsはdesign philosophy(デザイン原則)、interaction patterns(認知パターン?)をコアとして内容するべき(Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51.の4章Design Systems Core Components)
    • 定義したUIパーツ(コンポーネント)を再利用することがデザイナーがUXを再構築することを防ぎ、アプリケーションの内容と構造に集中することにつながる(4章に記載あり)

デザインシステムの導入事例

  • OSSのデザインシステムは数多くある(Lamine, Y., & Cheng, J. (2022). Understanding and supporting the design systems practice. Empirical Software Engineering27(6), 146.)
    • LamineらはOSSのデザインシステムを調査し、デザインシステムを運用していく上での課題へのアプローチ方法をまとめ、デザインシステムをリードするメンバーがボトムアップのアプローチを重視していることを調査から示した
    • 最もよく使われているOSSのデザインシステムは以下(Hamilton, A.: The State of Design Systems: 2020 - A community survey of design systems, from creation to implementation and beyond. Material Design (2020))
      • Google's Material Design
      • Apple's Human-Interface Guidelines
      • IBM Design System
  •  Case Study
    • Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51.
      • 組織概要
        • 年間$40Bの売り上げ
        • 120カ国展開
        • 地理的分散(India, US, and Brazil)した多国籍チーム
        • multiple sites across different countries, different codebases, different platforms
        • ブランドガイドラインを持っていない状態
      • 実践
        • 6ヶ月でデザインシステムを作りきる
      • 結果
        • 開発業務の無駄を30%削減、デザイン業務の無駄を35%削減 ※ 企業からの回答結果で、これ以上のデータも根拠も記載なし
        • webアクセシビリティの改善ができた ※ 具体的な話はない
    • Moore, R. J., Liu, E. Y., Mishra, S., & Ren, G. J. (2020, July). Design systems for conversational UX. In Proceedings of the 2nd Conference on Conversational User Interfaces (pp. 1-4).
      • WIP: SiriやAlexaなどのツールと会話する際のUXをどうDesign Systemsへ取り込むか、に関する論文のよう ※ 時間があればもう少し読む

デザインシステムが注目される背景

  • DXの流れ、SNS利用、webサービス利用増加、これらがあり企業は市場で他社と競うためにコストの最小化と品質の向上を義務付けられていった(Chin, K. S., Chan, A., & Yang, J. B. (2008). Development of a fuzzy FMEA based product design system. The International Journal of Advanced Manufacturing Technology36, 633-649.)
    • TODO: Development of a fuzzy FMEA based product design systemはabstractのみ読んだ程度なので、時間があれば読む(引用数282)
  • 上記の流れの中で、ソフトウェア開発者の作業は増えていったが、デザイナ、マーケタと協業することになっていった(DevOpsとかDesignOps、チーム開発の文脈のはず ※ 要確認)。その協業において、デザイナにとってはドキュメントをメンテナンスし続けることがデジタルプロダクトの一貫性を保つ一つの方法であるので、協業を可能とする方法が必要とされ(Huang, Y.:Developing a Design System for an e-Commerce Website. Aalto University, Department of Media)、デザインシステムはこれらを解決する一つの方法である。

Future Research

  • 定量的、定性的、両方のresearchがまだ必要(Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51.)
    • デザインシステムはまだ新しいコンセプトである
    • 別のresearch methodを用い、定量的な評価が必要

雑感

  • Handal, S., Koo, C., & Adelakun, O. (2022). Design systems implementation for digital transformation: a case study. Information Technology and Systems: Proceedings of ICITS 2022, 42-51. は非常に参考になった
  •  Handalらのcase studyは参考になるが、デザインシステムを導入するプロセスや効果検証など、その評価結果の根拠が乏しい印象。アンケートでも良いので、もう少し客観的な情報が欲しいところ。これはFuture worksで記載のある内容ではある。
  • Chinらの論文にもあるようにDX、コストと品質(ユーザビリティ観点※ アクセシビリティもあり)関係は引き続き課題感がある
  • OSSのデザインシステム、Atomic Designとそれを内包したデザインシステムとしての定義(もちろんまだ曖昧)、実践事例はあるが、概念自体が複雑であるので、今の研究結果だけでデザインシステムを作ることは再現性の面でまだ課題がある印象。
  • 残タスク
    • Chinらの論文は改めて読み進める
    • Lamineらの論文は結論のみ理解できるよう再度読む

博士(ソフトウェア工学)の学位を取得しました

2022年3月付けで博士(ソフトウェア工学)の学位を取得しました。今回はその振り返りをします。社会人の方で同じように学位取得を目指す方の参考になれば幸いです。お金も時間もかかることですので、安易に学位取得をお勧めすることはしませんが、僕自身は博士の学位を取得してよかったと思っています。リンダ・グラットンがLIFE SHIFTで述べた「人生100年時代」の話がよく取り上げられますが、そこに向けて楽しくやっていけるマインドが不思議とついたことはこのチャレンジの中で得られたことの一つです。そしてそれはこのチャレンジの中で出会った方々のおかげだと思っています。改めて感謝の意を表します。ありがとうございました。学位そのものがいただけたことはもちろん嬉しかったですが、それよりもこの根拠のない自信を得て、人生を楽しくやっていけそうなメンタルを得られたことは大きかったです。というのも、後述しますが僕が博士の学位取得を目指した理由の一つが将来への漠然とした不安がきっかけであることによります。それでは振り返りとしていくつかテーマを挙げてお話ししたいと思います。

社会人として修士課程、さらに博士課程へ

大学に進学することを考えたきっかけは、自身のキャリアとソフトウェアエンジニアとしての技量、知識、経験に対する漠然とした不安でした。学部生の時、家庭の事情で修士課程に行けなかったことが心残りであったことも関係していますが、それよりはこれらの不安の方が要因として大きかったです。

僕の場合は、社会人学生を受け入れ、さらに僕自身が興味を持てる分野を研究している先生を探すことからはじめました。それが2018年の春〜夏のことだったと思います。以前の記事にもその頃のことはまとめています。この時から、博士の学位を取得することを考え、指導いただく先生と学位取得までの計画をしていました。この時の計画が予定通りに進み、成果が積み重なったことで学位を取得するに至った、ということになります。

今振り返ると、我ながら無謀なことをしたな、とも思いますがチャレンジしてよかった。そして、研究をちゃんとしたこともない僕を受け入れてくれた研究室の先生、研究科の先生方の寛容さには頭が下がります。先生方に出会えていなかったら確実に今はないでしょう。

興味のある研究に取り組める幸運

僕の博士論文のテーマはざっくりというと大規模アジャイル開発とソフトウェアアーキテクチャに関するものです。研究が大変でも楽しく取り組めていた理由の一つは、興味を持てる分野の研究ができたことでしょう。今振り返ると、自分が興味を持てる分野を研究でき、博士論文としてまとめられたことは幸運でした。

多くの方が機械学習に関する研究に注目しています。そんな中で自分の興味に従って研究経験が乏しい社会人学生が研究テーマを選ぶことは大変でした。実際に修士課程の入学試験の際、僕は機械学習に関する研究をすることを面接でお話ししたのですが、紆余曲折あって自分が本当に興味を持てるアジャイル開発とソフトウェアアーキテクチャに関する研究に取り組み、修士論文はそのテーマを扱いました。博士の学位を取得するまで、様々なハードルがありましたが、研究テーマをしっかりと決め切ることが僕にとっては一番大変でした。意外にこれが決まらない。特に僕のような駆け出しの研究者にとってはこれが大変でした。ちょうど別記事にこの時のことを以下のように書いてました。まさに迷走してました。

考えてみると、こういった形で研究が一つの大きなテーマで一つ一つつながっていることは僕には偶然のことのように思えました。初めはアジャイル開発についての研究を進め論文発表までしていたのですが、その後にどんな研究をしていくべきか迷子になり、別の機械学習関連の研究を始めたりしました。そちらも研究会で発表したりするなどはしました。横道にそれたりはしましたが最終的には元のアジャイル開発という分野に研究のテーマを戻すことができ、さらにもともとやりたかったソフトウェアアーキテクチャについての研究をすることができています。もう一度やってみて、と言われても同じように研究活動を進め、学位論文を書くところまでできるかわかりません。 引用:社会人博士を始めてしばらく経ったので振り返り

指導いただく先生、研究室のメンバ、大学の研究科の先生方、そして学会でお世話になった方々など多くの巡り合わせがあり、最終的に自分が興味を持てることに取り組み、学位が取れたことは幸運だったと感じています。たまたまうまく成果が積み重なった、と思っています。当初立てた学位取得までの計画通りではあったので、先生はここまで考えておられたのかもしれませんが今となってはそれもわからず(詳細こちら)。僕自身も地道な積み重ねをする日々でしたが、それ以上に僕ができることはありませんでした。毎日積み重ねをするのみ。細かなテクニックの話にはなりますが、僕の場合は習慣化をするためポモドーロテクニックを使ってゲーミフィケーションの要素を入れながら積み重ねを楽しむ工夫をしてました。以下は実際に年末年始僕が学位論文を仕上げる作業をポモドーロタイマーを使って計測した内容です。

興味のあることをしているとはいえ、集中して日々積み重ねをする習慣化をすることは苦労しました。その点、ポモドーロテクニックとこのアプリのおかげで自分の作業を可視化し、さらにゲーム要素(ex. 昨日より1ポモドーロ頑張ろう、のようなモチベーションアップ)を取り入れることができたので博士課程の1年はうまく積み重ねをすることができました。僕のパーソナリティとして、真面目でまめな方だとは思いますがやはり怠惰なところはあるのでこういった習慣化するための工夫と、さらに幸運がなかったら学位は取れていなかったでしょう。(余談ですが、こういうことをしないと集中して作業ができないことはなんとかならないかと時折思っていたものですが、森博嗣さんの集中力はいらないを読んでそんなこと考えなくていいかと諦めることができましたのでおすすめです)

誤解なきように、という意味でいいますと、熱心な先生方のいる研究室、すなわち研究成果の出ている研究室にお世話になることがまずは大切で、その上で幸運にも興味のある分野で研究ができるとハッピーですね、という考えでいます。この辺は僕もいつもツイート拝見してるOdaさんがちょうど呟いてまして、それはそう、と思ってました。ですので、僕の場合は学科の先生方にも恵まれたのと、さらに研究成果もうまく積み重ねることができた、ということでもう一度生まれ変わって学位取得のプロセスをやってと言われてもまあまあ辛いなと思ったりしてます。

https://twitter.com/odashi_t/status/1496021591645638658?s=20&t=G_4ljvhqD4hfUY8eK8b-OQ

今後

僕は業務として研究開発に取り組んでいるわけではありません。ソフトウェアエンジニアとしてプロダクト開発を担当しています。ですので、これまでよりも論文を執筆するペースは落ちると思いますが毎年学会発表をするよう進めたいと思っています。現状、それ以上の今後のことはあまり検討できていません。修士課程に進むことを決めた際はこちらの記事でも書いていますが以下のように考えていたようです。

これは正直まだふんわりとしています。僕としてはドクターという資格を例えば海外で働く際に信用してもらうラベルとして利用したい、できるのではないかと考えています。今は本当にこれだけ考えています。まだとってもいないですしね、これでいいのではと、と考えています。

今後のキャリアについて改めて考えていますが、まだこの時と同じ状況です。ソフトウェアエンジニアリングの大切さは最近日本語訳もされたGoogleのソフトウェアエンジニアリングでも書かれていましたが、ソフトウェアエンジニアリングを大切にする組織やチームで一緒にソフトウェア開発を楽しめるといいなと思っています。今後についてはゆっくり考えます。

おわり

学位を取得したことに関して振り返りをさせていただきました。僕の場合は研究室探しから数えると4年ほど学位を取得するまでかかりました。4年の間にはさまざまなことがあり(ex. 転職、結婚、引っ越し、研究室変更・・・)、振り返るとよく予定通り学位を取れたなと思います。自分でも驚きです。他方、学位を取っても僕自身は研究者としてはジュニアすぎますし、先生方はもちろん、Twitter上で見かける学位を取得した方々の業績を見ると僕がまだまだ未熟すぎることに気づき打ちのめされます。それでも自分がしてきたことには自信を持ってますし、成果を出していくためには地道に続けるのみ。ですので、これからも同じ姿勢でチャレンジしていきたいと思います。それでは本記事は以上です。同じように学位の取得を考えている方、特に社会人の方で学位取得を考えている方の参考になれば嬉しいです。

社会人博士を始めてしばらく経ったので振り返り

本記事では2019年4月から社会人学生として修士課程に進み、そのまま2021年4月より博士課程に進んだ振り返りをしておきます。ちなみに以前の振り返り記事をまとめておきますのでもしお時間あればご覧ください。

社会人として博士課程に進む

博士課程に進むことはもともと2019年の時点で指導教員の先生とお話をしていました。ですので2019年からそのつもりで研究活動をしていました。それでも振り返ると博士課程に進めるほど実績を積めたことはいくつかの幸運があったからだと思っています。研究そのものは何度も方向性そのものから悩みましたし、仮に博士課程に行ったとして僕自身が博士論文となるほどの学位論文を仕上げることができるのか全くわかりませんでした。その点については指導教員の先生の熱心なご指導と様々な学会でご指導いただいたことが僕にとって大きかったと感じています。まだまだ研究者としてはひよっこすぎますがいくらか学会で発表をしてきたことで自信がついたことは確かです。博士課程に進むための試験において、実績リストを作成し研究計画を面接の場で話すのですがそれをなんとか乗り越えられたことはこの3年ほどの積み重ねがなければ難しかったです。博士課程の試験自体は確か2月か3月にあり、修士課程の卒業式ののちに2021年4月から無事に博士課程に在籍する社会人学生として研究を始めることになりました。この時、これまでの成果を鑑みて先生の推薦もあり学位取得は1年で目指すことを大学に申請しています。ですので2021年4月入学、2022年3月卒業予定、ということになります。もちろん必要な実績や単位などは変わりません。

指導教員の突然の訃報

ちょうどその頃、国際学会に出す論文ともう一つ国内の学会に出す論文を指導教員の先生と準備を進めていました。国際学会に出す論文については無事に提出ができ、次に国内学会に提出する論文の準備をしている頃からどうも先生のレスポンスが遅くなってきており何か嫌な予感がしていました。

提出していた国際学会の論文のアクセプトのメールが届くと、先生からもお祝いメールが届き、これで学位取得に必要な実績が十分になった、と連絡を頂きました。ただ、それからしばらく先生から連絡がなく、いつもレスが早い先生が全く連絡がないというのは何か体調に問題があったのだろうと考えるようになっていました。それも非常に大きな問題なのだろうと。その予感は的中し、大学側から先生の訃報の連絡をいただきました。これがたしかGWに入る前くらいだったと思います。

それからは同じ研究科の先生方にサポートをいただき必要なことを一つ一つ対応していく日々でした。僕自身も、そして同じ研究室の学生も先生を慕っていたのでやはりショックは大きかったです。それぞれのペースでそういった状況と向き合いながら取り組んでいたと思います。僕自身もしばらくはショックで色々なことが手に付かない状況でした。それでも多くの研究室のメンバーは先生と準備をしてきた論文については他の先生のサポートをいただき提出をする作業をやり終えました。僕自身も複雑な思いがありましたが論文を提出しました。これが確かGW明けくらいのことだったかと思います。その同じ頃に国際学会での発表の対応も行いました。5月と6月は非常に忙しかったことを覚えています。

それからの研究活動と中間発表

それからしばらく、大学主催の先生のお別れ会や学会でも先生をしのぶ会が催されました。すごい先生に指導いただいていたんだなということを改めて感じる日々でした。この頃には僕自身も立ち直っており、指導いただいた先生に報いるためにもしっかりと学位を取得して卒業をしようと考えていました。

それから徐々に中間発表の準備に取り掛かり、博士論文の目次案や草稿を作成することを始めていました。僕の場合はアジャイル開発(特に大規模アジャイル開発)とソフトウェアアーキテクチャが研究のテーマなのですが新しく指導いただく先生と研究内容について議論させていただき少しずつ形が見えるようになってきました。これが7月頃のことです。博士課程ですとほとんど講義はありませんので土日は研究の時間にあてられることはよかったです。

この3年ほどの研究が振り返ると一つのテーマでしっかりと幹が通っており学位論文としてまとめられるということを知りました。これはおそらく指導教員の先生は気づいていたのかもしれませんが僕は新しく指導いただく先生に教えていただくまでよくわかっていませんでした。考えてみると、こういった形で研究が一つの大きなテーマで一つ一つつながっていることは僕には偶然のことのように思えました。初めはアジャイル開発についての研究を進め論文発表までしていたのですが、その後にどんな研究をしていくべきか迷子になり、別の機械学習関連の研究を始めたりしました。そちらも研究会で発表したりするなどはしました。横道にそれたりはしましたが最終的には元のアジャイル開発という分野に研究のテーマを戻すことができ、さらにもともとやりたかったソフトウェアアーキテクチャについての研究をすることができています。もう一度やってみて、と言われても同じように研究活動を進め、学位論文を書くところまでできるかわかりません。その時々、懸命に取り組んでいただけですがしっかりやってきてよかったと感じています。

9月末に中間発表がありました。その場でもちろん様々なご指摘をいただきましたが概ね問題なく対応ができました。ですのでこのまま予定通り学位論文を仕上げていき、来年3月に卒業できるだろうと考えています。

これから

10月になりました。いよいよ最後の仕上げで学位論文を作成していきます。時間はあるようでないので、日々少しずつ準備をして少しでも良い論文に仕上げていきます。それが亡くなった先生への恩返しだと思っています。そして学位を取った後、それをどう生かして社会で活躍していくか、そこもしっかり考えたいです。先生と最後にやりとりしたメールでもそのようにコメント頂いてました。

今、採択通知が来ましたね。 おめでとうございます。 学位の条件はこれで満たしてましたが、現在のテーマを掘り下げて、良い成果を現場に フィードバックして下さい。

中間発表が終わり、一息ついたので諸々整理をしていたら、ドタバタで博士課程の振り返り記事を書いていないことに気づきこの記事をまとめました。残りの期間もしっかりと研究活動をしていきます。